山口安保違憲訴訟(第1回弁論)報告

山口での第1回弁論の報告を送っていただきました。
——————————————————————–

1 山口安保法制違憲国家賠償請求訴訟の第1回弁論が2017年4月26日午後3時30分から山口地方裁判所31号法廷でありました。

次回期日は,8月16日,午後3時30分からとなりました。

2 意見陳述を行ったのは,原告那須正幹さん,藤井郁子さん,代理人内山新吾弁護士,田畑元久弁護士の4名です。
原告,代理人は各自7分程度意見陳述をしました。
裁判長は4月から赴任した女性裁判官でしたが,意見陳述中,淡々とし表情でした。被告側の男性一人が目をこする動作をしていましたが,泣いていたのか目が痒かっただけなのか分かりませんでした。
傍聴席は満席でしたが,傍聴人の方々は,原告,代理人の意見陳述に聞き入っているようでした。

3 那須さんは,昭和47年から児童文学作家として創作活動を続けており「ズッコケ三人組」シリーズの著作があります。那須さんは,「3歳の時広島で被爆し,家族には幸い原爆による死者は出なかったが,周りの家では何人もの死者がでました。同級生も白血病で亡くなりました。原爆は天災ではありません。戦争という人災がもたらした悲劇です。だからこそ,誰もが戦争を二度としたくないと心の底から思ったのです。5歳のとき,新憲法が施行され,父親から,これからの日本は,絶対に戦争をしないし,デモクラシーの世の中になると教えられ,子ども心にも素晴らしいことだと思いました。私は,子どもの本を書くことを生業としています。私の描く子どもたちは,みな元気で活発です。平和で民主的な日本に暮らす子どもたちだからです。ところが,安保法制が成立したために,作家である私は,こうした子どもたちの姿を描けなくなってまったのです。」と述べました。

4 藤井さんは,実父が中国で終戦を迎え,ソ連軍によってシベリヤに移送,10年間もの抑留生活を余儀なくされました。父の戦争体験を知る私は,このたび安保法制によって耐え難い苦痛を感じています。憲法違反の安保法制は廃止あるのみと強く訴えたいと述べました。

5 代理人内山弁護士は,話し言葉で分かりやすくこの裁判の意義を熱く語ってくれました。
山口では,提訴時に「わや,しちゃー,いけん」という横断幕を掲げて行進しました。「わや」とは,山口弁で「無茶苦茶」という意味です。
「わや」とは,「国が立憲主義,平和主義に反する新安保法制法をつくったことを指します。「しちゃー,いけん」の「いけん」は「いけない」と「違憲」をかけています。
「わや,しちゃー,いけん」は原告ら共通の思いであると述べました。

6 田畑弁護士は,安保法制が違憲であり,その制定にかかる内閣及び国会の行為が違法であることを,大きな体と同じくらい大きな思いで語ってくださいました。
集団的自衛権の行使が違憲であること,駆け付け警護等が違憲であることを一生懸命に語ってくださいました。いつもは明るくて優しい田畑先生が,「安保法制が違憲」であることを真剣に語ってくださいました。

7 裁判後の報告会は、弁護士会館で行われました。椅子が足りないほど多くの方々が報告会に参加しました。原告の方々は、積極的に訴訟に参加するという強い意欲が感じられる発言が多かったです。

8 報告会後、記者からの囲み取材(弁護団長に内山先生が対応)が30分以上もあり、報道機関の関心も高いようでした。
(文責 弁護士 松田弘子)

Share Button