ニュースNo.23を公開しました。
なお、事務局体制の変更に伴い、ワンコインプロジェクト等は終了しました。
2022年3月29日 zoom29は、安保法制違憲訴訟全国原告連絡会主催のzoomイベントです。 毎月、安保法制が施行された3月29日を命日と捉え、月命日の29日に開催しています。 安保法制違憲訴訟は、判決ラッシュを迎えておりますので、順次、各地からの報告を行ってまいります。
1.「福島判決の報告」大木裕生 弁護士
2.「かながわ訴訟」関守麻紀子 弁護士
3.「安保法制違憲訴訟岡山の特徴と課題」伊原潔さん
4.総会
総会では下記の決定がなされました。
[会の名称]安保法制違憲訴訟全国原告連絡会
[共同代表] 金野(山梨)・古橋(大阪)・山口(東京)
[会 計] 鶴内(宮崎)
[会計監査] 石垣(埼玉)
2022年3月25日 参議院議員会館にて
下記、2本の動画が公開されています。
ご協力ありがとうございます。
〇U PLAN
〇川島進さん
2022.3.23
安保法制違憲訴訟岡山地裁判決に対する声明
岡山安保法制違憲訴訟弁護団及び判決報告集会参加者一同
1 本日,岡山地裁(裁判長田中俊行)は,岡山安保法制違憲訴訟について,原告ら560名による切実な訴えを不当にも棄却した。
2 判決理由は,⑴ 憲法上,平和的生存権が具体的な権利利益として賦与され保障されているとはいえない。⑵ 新安保法制法によって,直ちに我が国が戦争に巻き込まれ,他国から攻撃を受けたり,テロリズムの対象となったりする現実的具体的危険が生じるともいえず,そのような事態が生じる具体的な危険が切迫し現実的なものとなっているともいえない。⑶ 原告らが恐怖や不安を抱いていること自体は理解できるが,抽象的な危惧感や不安感の域を出ない。⑷ 新安保法制法は法律の改正または制定に過ぎず,憲法の効力が影響を受けるものでないから,実質的な憲法改正ということはできない。また,憲法上,個々の国民に対し憲法改正についての権利利益を具体的に賦与し保障したものとはいえない。
したがって,新安保法制法に係る閣議決定,法案の国会提出,法案の可決をした行為によって,原告らの主張する平和的生存権,人格権,憲法改正決定権が侵害されたとは認められない。なお,本件において憲法判断をなすべき必要性も相当性もない。
というのである。
3 しかしながら,平和的生存権については,憲法前文,9条,13条によって,憲法の理念の中核をなすものとして,当然に憲法上認められるべきものであることは,原告らにおいて詳細に根拠づけて主張してきたとおりであり,これを否定することは,憲法感覚の欠如を示すものというほかない。また,新安保法制法の施行によって,我が国が戦争に巻き込まれ,他国から攻撃を受けたり,テロリズムの対象となったりする現実的具体的危険が生じることについても,審理の過程で詳細に主張し,専門家証言によって具体的に立証してきたところであるにもかかわらず,裁判所がこれらを吟味した形跡は全く窺われない。
ウクライナへのロシアの侵攻がなされ,台湾有事が叫ばれている状況に対する肌感覚が全く欠如した無責任な判断としかいいようがない。
憲法の解釈改憲についての実質的な検討は何もなされないままに,憲法制定権力者である国民の権利についての認識も欠如した判断は空疎というほかない。
本判決書は,始めに結論ありきで,これまでの棄却判決の理由をコピーアンドペーストしただけの空疎な書面であり,司法が権力に忖度した残念な判決というほかない。
4 集団的自衛権行使を容認し,後方支援活動をし,米軍等の武器等防護をすることなどを認める新安保法制法が,元最高裁長官を含む元最高裁判事や,元内閣法制局長官等からも憲法違反であると指摘され,心ある国民の多くが反対したにもかかわらず,なりふり構わず強引に制定され,施行された。これにより,我が国,我が国民の頭上に,きな臭い暗雲が立ちこめることとなった。
一見明白に憲法違反である新安保法制法によって,私達が戦争やテロに巻き込まれる危険に曝され,平和的生存権や人間の尊厳に由来する様々な人格権の侵害を受けることを肌で感じた多数の国民は,司法に付与された違憲立法審査権の発動による救済を求めて全国各地で訴訟を提起した。
平成28年6月,この岡山においても,私達は本件訴訟を提起した。
訴えの提起から早や,5年以上が経過したが,新安保法制法のもとで,自衛隊は,情報や装備,戦闘支援活動態様において,米軍と「切れ目なく」一体化し,独自の判断・行動をすることすら期待できないまでになりつつあり,我が国は,「存立危機状態」の判断をするまでもなく,米軍の戦闘に巻き込まれるのみならず,離脱することも困難な状態となっている。
さらには,米中対立が深まっており,遅くとも6年内には,台湾を巡って,米中が衝突する危険性が迫っていると言われている。
中国とアメリカが台湾を巡って,戦争に突入した場合に,我が国と密接な関係にあるアメリカに対する武力攻撃が発生したとされ,アメリカ軍と一体化した自衛隊は,集団的自衛権に基づき,「我が国を防衛するため」として,武力行使をすることになり,戦争当事国として我が国は攻撃の対象にされることになる。我が国民が,否応なしに,殺し,殺される最悪の悲劇の中に巻き込まれることが,新安保法制法の適用下では想定内にある。
戦争は起こってしまってからでは遅く,「戦争の危険が切迫し,現実のものになって」からでは,既に手遅れである。戦争体験者である原告らはその体験を通じ,あるいは,原告らの歴史認識を通じて,新安保法制法が我が国を戦争に巻き込む現実的な危険性を有することを肌で感じて,矢も楯もたまらず,新安保法制法によって,様々な態様で権利の侵害・抑圧を受けていることを訴えているのである。
5 我々は,司法の役割を放棄し,憲法判断を回避した不当判決に対して断固抗議するとともに,司法が本来の使命を全うする日まで,そして,憲法違反の安保法制法を廃棄して,私達のみならず未来を生きる人々の平和的生存権を揺るぎのないものにする日まで,全力で戦い続けることをここに宣言する。
以上
判決を受けて
2022年3月17日
安保法制違憲かながわ訴訟弁護団
本日、横浜地方裁判所第4民事部(関口剛弘裁判長)は、安保法制違憲かながわ訴訟において、原告らの国家賠償請求及び自衛隊の防衛出動等の差止請求を棄却する判決を言い渡しました。
判決は、新安保法制法の憲法適合性に対する判断を回避し、安保法制制定による原告らの平和的生存権、人格権及び憲法改正・決定権の侵害を否定しました。
かながわ訴訟には、横浜大空襲に罹災した原告がいます。眼前で多くの命が失われる筆舌に尽くしがたい経験を乗り越えて生きてきましたが、安保法制制定によって日本が再び戦争をすることができる国へと変貌したことにより、戦争の記憶が再燃し、なまなましい恐怖が呼び起こされ、再び同じ目に遭わされることへの強い恐怖を覚えています。
横須賀基地、厚木基地等在日米軍基地の周辺に居住する原告も多くいます。在日米軍基地がテロや米国の紛争の相手国・組織からの攻撃の対象とされることに強い恐怖を感じながらの生活を余儀なくされています。安保法制制定後は、日米の軍事的一体化のみならず、インド洋や南シナ海での米軍や他国軍との演習の実施等により、偶発的な衝突が生ずれば、在日米軍基地が攻撃され、平穏な生活を失うことになるという現実的な危険性に怯えさせられています。
判決は、「戦争やテロ行為等により生命・身体が侵害される危険にさらされず、恐怖と欠乏から免れて日常生活を送る自由」が憲法13条により保障されていることを認め、原告らが、日本が武力衝突に巻き込まれ、生命・身体を侵害されるのではないかとの恐怖・不安を抱いていることを認め、原告らが、個人の経験や状況等に応じた精神的苦痛、個人の尊厳が否定されたと感じたことによる精神的苦痛を感じていることは認めるものの、現時点で、生命身体侵害の具体的危険が生じているとはいえないことから、新安保法制法の立法行為によって権利が侵害されたとはいえない、として、権利侵害を否定しました。
平和的生存権、憲法・改正決定権については、原告らの主張にそった検討をしたものの、結論としては権利性を否定しました。
差止請求について、全国に展開している安保違憲訴訟の判決のなかで初めて民事請求の適法性を認めたことは評価できます。しかし、平和的生存権、人格権、憲法改正・決定権は侵害されたら事後的に回復を図ることが困難であることや近年日本の安全保障環境が変化していることを認めながらも、権利・利益侵害の蓋然性を否定し、請求を棄却しました。
判決は、権利侵害を否定し、憲法判断を回避しました。かかる判断に従うならば、戦争が始まり、生命・身体という一度侵害されたら回復が不可能な権利侵害が生じてからでなければ裁判所に訴えることも、法の違憲性を問うこともできないことになります。このような判断を到底受け入れることはできません。
もっとも判決は、「関連2法については、『存立危機自体』として想定される事態の範囲など、既定の文言のみから直ちに明らかとは言えない部分もあり、今後、既定の想定する事態等について相当数の国民の理解ないし共通認識が不十分なまま、本件各差止請求にかかる命令及び事実行為が行われ、あるいは、行われる蓋然性が生じることになるとすれば、決して望ましいこととはいえない。上記蓋然性が未だ認められるに至っていない現段階のうちに、改めて、関連2法の内容について、行政府による説明や立法府による議論が尽くされ、憲法が採用する立憲民主主義と平和主義の下、広く国民の理解を得て、国の安全保障に関連する諸制度が、国の平和と国民の安全を守るために適切に機能する制度として整備されることが望まれる。」と判示しています。新安保法制法の内容についての不明確性を指摘し、そのままの適用について、危惧を表明して、立憲民主主義と平和主義の下での再検討を求めています。
本判決は、これまで言い渡された他地裁の判決の言い回しをそのままいうことはなく、原告らの訴えに耳を傾けたこと、行政府と立法府に対し、裁判所として一定の要望を述べたことについては、評価できるものの、裁判所の本来行使すべき違憲審査権を行使しなかったことについては、承服できません。私たちは控訴して、立憲民主主義と平和憲法を取り戻すために、司法が人権擁護の最後の砦としての機能を果たし、裁判所が安保法制は憲法違反であるとの理にかなった判決を示すまで、闘い続けることを表明します。
2022年2月27日
アフガニスタンから帰国したばかりの西谷文和さんに、お話を伺いました。
主催:安保法制違憲訴訟全国原告連絡会
〇事務局作成メモ:pdf
※pdfをクリックしてダウンロードしてください。
●2022年1月27日(木)
於:(東京)日本教育会館・一ツ橋ホール
●プログラム
・プレイベント
全国の原告のみなさんをZoomでつなぎます!
・講演会(司会:山口あずさ)
・雅楽「笙」の演奏とお話 鈴木治夫さん(笙職人、元東京藝術大学非常勤講師)
・全国の訴訟について 福田護さん(弁護士)
・講演 石川健治さん(東京大学法学部教授)
・賛同署名協力のお願い 内山新吾さん(弁護士)
・閉会挨拶 菱山南帆子さん(東京国賠訴訟原告)