(以下は、2016年4月20日、違憲訴訟の会決起集会における、共同代表伊藤真による報告の全文です。)
現在、この国では前代未聞の事態が進行しています。
安保法制はまさに、日本を戦争する国に変えるものです。このように国柄を変えることは本来、それによって加害者にも被害者にもなる主権者国民の意思でなければできないことのはずです。最高裁が「違憲状態」と断じた正当性のない選挙で過半数の議席を得ただけの政権、しかも、先の衆議院選挙で自民党・公明党を合わせた得票率が有権者のわずか24%に過ぎないような政権が、憲法を無視して日本の国柄を変えてしまうことは、まさに国民の憲法制定権、すなわち主権の侵害であり、法的には一種のクーデタに他なりません。
この前代未聞の事態に対しては、これまでとは全く異なる、前例のない手段で対処しなければなりません。党派を超えた総掛かり行動や2000万人署名、そして選挙において共産党を含む野党で統一候補を擁立して闘うことも、前例のない画期的なことであります。ならば、法律家としても、前例のない規模と質の訴訟を提起しなければなりません。
私たちは、安保法制が違憲であり、違憲の法律の存在を認めることなどできないという怒りとともに、憲法を無視する態度、法を何とも思わない態度を、許すことができません。この国は法の支配の国であり、立憲民主主義国家であったはずです。単なる数の力で何でも自分の思うとおりに押し通そうとする政治が、なんの歯止めもなく、このまま放置されてしまうことは、企業も社会も家庭もあらゆる場面で、法を無視することがまかり通ることにつながります。これはあってはならないことです。
司法を通じて、この異常事態から脱却し、政権与党による憲法破壊のクーデタを阻止し、日本の憲法価値を守り、立憲主義と民主主義を取り戻すために、法律家は、その職責を果たさなければならないと考えます。 続きを読む なぜ 今 違憲訴訟か(共同代表 伊藤真) →